よくある質問

Q1 内容証明郵便とは何ですか。

 送った文書の内容を郵便局が証明してくれるものです。いつ,誰に送ったかというだけでなく,送った文書の内容についても郵便局が証明してくれるので,どのような内容の文書を送ったかを証拠に残しておきたい場合になどに利用します。

 内容証明郵便を利用する場合には,全く同じ文書を3通作ります。そして,郵便局(ただし,取扱局が限定されています。)へ持っていくと,担当者が3通全て同じ文書であるかを確認し(確認には時間がかかります),証明印を押した上で,1通は相手方へ郵送し,1通は郵便局へ保管してくれます。もう1通は差出人の控えとなります。

 内容証明郵便を作成する場合には,1枚に記載できる行数や字数が決まっているので注意が必要です。また,3通全く同じものを作成しないといけませんので,パソコン等がない場合には,文房具店等で販売されている内容証明郵便用紙を利用するとよいでしょう。3通全てに押印・契印するのも忘れないようにしなければなりません。

 なお,日本郵便株式会社では電子内容証明郵便サービスも提供しておりますので,同社webサイトにてご確認ください。

Q2 調停とは何ですか。

 調停手続きは,簡単にいえば,裁判所で行われる話合いの手続きです。紛争中の当事者だけで話合いをするのが難しい場合に,裁判所という場を借りて,調停委員を介した上で話合いをしていきます。調停委員を介しての話合いのため,ほとんどの場合は相手方と顔を合わせることはありません。

 もっとも,あくまでも話合いのため,当事者同士,折り合いがつかない場合は調停不成立となります。

 このように,残念ながら,調停を起こしたからといって,必ずしも解決が望まれるわけではありません。しかしながら,訴訟をしなくても問題の解決ができる可能性があるという点では,調停の役割は大きいでしょう。

Q3 訴訟とは何ですか。調停手続きとは何が異なるのですか。

 訴訟とは,法律上の紛争について,裁判所が対立当事者の主体的関与のもとに事実を認定し,法を適用して,権利・法律関係の存否を判断し,その判断内容に裁判所及び当事者を拘束させる手続きです。

 調停手続きはいわば話合いであるため,相手方と折り合いがつかない場合には結論が出ません。しかし,訴訟手続では,相手方と言い分が全く異なっても,最終的には裁判所が判断し,結論が出されるという点が大きく異なります。

 また,調停手続は話合いであるため,必ずしも書面や証拠を提出する必要はありません。証拠がなくても,当方・相手方の両者が納得して合意できるのであれば,調停は成立します。しかし,訴訟手続では,自分の主張を書面にまとめ,証拠を提出しなければなりません。そもそも自分の主張が法的に認められる余地のないものである場合や,主張を裏付ける証拠がない場合には,請求は棄却されます(敗訴)。つまり,自分の言い分が認められなくなってしまいます。

 このようなことから,「調停手続は本人で行うけれども,訴訟手続は弁護士に依頼する」という方が多くなっています。訴訟遂行には専門的知識が必要ですから,これから訴訟提起しようとする場合や,逆に訴訟提起されてしまった場合には,弁護士に依頼する方が無難でしょう。

Q4 公正証書とは何ですか。

 公正証書とは,公証人という法律の専門家が作成する公文書です。公の文書ですので,高い証明力があります。また,強制執行認諾文書付の公正証書にしておけば,同文言の対象事項については,訴訟手続を経なくても強制執行をすることができます。

 例えば,ある当事者間で合意書等を作成した場合,当然,かかる合意をした当事者は,その合意内容を守らなければなりません。しかしながら,中には「それは自分の知らないところで勝手に作られたものだ。」などと主張する人がいるものです。このようなとき,公正証書があれば,「勝手に作られた」などという主張ができなくなるわけです。 

 特に,公正証書とした方がよいものとして,遺言書が挙げられます。亡くなった後は,遺言者の意思を本人に確認することはできませんので,相続人の間で「この遺言書は偽造されたものだ」などという紛争が起こることがよくあります。このようなとき,公正証書であれば,公証人が直接遺言者の意思を確認し,本人から聴取した内容を基に作成されますので,「偽造された」などという主張は認められません。

 なお,公正証書は「公証人役場」というところへ行くと作成してもらえます(「公証人合同役場」「公証人センター」などという名称の場合もあります。)。公正証書の作成を検討の方は,まずは,お近くの公証人役場に電話し,予約の要否や手数料,持ち物等をご確認ください。

 
Q5 訴状が届きました。放っておいたらどうなりますか。

 民事訴訟の場合,指定された第1回期日において,被告(訴えられた側)が答弁書も出さず,期日にも出頭しない場合,原則として,原告(訴えた側)の主張した事実を認めたとみなされます。すなわち,訴状が届いたのにもかかわらず何もせずに放っておいた場合,原則として,被告敗訴ということになります。

 一度敗訴判決が確定してしまえば,後に争いたいと思っても,これをくつがえすことは再審事由がない限り不可能です。訴訟が届いたら,なるべく早い時期に法律相談に行くことをお勧めします。期日が近づいてから相談しようと思っても,予約が入らないことが多いのでご注意ください。

Q6 配偶者が離婚に応じてくれない場合,どのようにすれば離婚できますか。

 自分は離婚したいのに,夫(又は妻)が離婚に応じてくれない場合,家庭裁判所に対して離婚調停を申し立て,その手続きの中で話合いをし,離婚を成立させるという方法があります(調停離婚。「調停」についてはQ2を参照。)。

 もっとも,調停はあくまでも話合いのため,調停手続を申し立てたとしても,相手方が離婚に応じなければ,離婚することはできません(離婚条件が合わない場合を含む。)。

 調停不成立になった場合には,家庭裁判所に対して,離婚訴訟を提起することになります(「訴訟」についてはQ3を参照。)。訴訟においては,法の定める離婚事由(民法770条第1項各号)があると裁判所が認めた場合に限り,相手方が離婚したくないと思っていたとしても,離婚することができます(裁判離婚)。

 なお,離婚の場合には,いきなり訴訟提起することはできず,先に調停申立てをしなければなりません(調停前置主義)。調停での離婚が成立しなかった場合に初めて,訴訟提起をすることができます。

Q7 離婚する際に注意すべき点はありますか。

 離婚する際には,夫婦間に未成年の子がいる場合の親権の帰属は当然のこととして,養育費,財産分与,年金分割,慰謝料等についても合意した上で離婚することをお勧めします。離婚時の話合いの機会を逃してしまうと,なかなか合意ができないものです。

 特に,財産分与については,離婚後2年を経過すると請求出来なくなりますので注意が必要です。また,年金分割についても,原則として離婚成立の日の翌日から2年を経過した場合には請求できません。慰謝料請求にも3年の消滅時効があります。

 なお,協議離婚において合意した内容については,公正証書を作成しておくことをお勧めします(Q4参照)。

Q8 財産分与について注意すべき点はありますか。

 婚姻中に形成した財産は,たとえ相手方名義であったとしても,財産分与の対象になります(相続により取得した財産など一部例外あり)。もっとも,相手方がどのような財産を持っているかを知らなければ,事実上,請求できませんから,財産分与を請求しようと考えているならば,相手方の財産をできるだけ把握しておく必要があります。

 また,住宅ローンなどの債務については,夫又は妻のどちらが負担するか当事者間で合意できたとしても,銀行等の了解が得られなければ債務者(又は連帯保証人)のままとなってしまいますので注意が必要です。

Q9 年金分割とは何ですか。

 離婚時の年金分割とは,婚姻期間中の厚生年金または共済年金の保険料納付記録を分割する制度のことです。年金額そのものが分割されるのではありませんが,保険料納付の記録(実績)が分割されますので,将来,受け取るべき年金額が増額(又は減額)します。

 手続方法などについては,お近くの年金事務所にお問合せください。

Q10 契約書に署名する際に,注意すべきことはありますか。

 言うまでもないことですが,契約書に署名する場合には,契約書をよく確認した上で,署名しなければなりません。一度,契約書に署名してしまうと,「契約内容が思っていたものと異なっていた」などと主張しても,なかなか言い分は通りません。

 また,受けた説明と異なる内容が記載された契約書に署名することは,絶対に避けなければなりません。「契約書にはこう書いてあるが,説明では違っていたからきっと大丈夫」と安心してしまうのは危険です。「このような説明はしていない」と言われてしまったり,担当者が変わってしまったりすることも多々あるからです。

 相手方が用意した契約書に署名する場合には,特に注意が必要です。問題が起きた場合には相手方に有利となる内容になっていることがほとんどです。

 後のトラブルを避けるためにも,契約書に署名する際には,契約書をよく確認してください。不安な場合には,契約書に署名する前に,弁護士等専門家に相談することをお勧めします。